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社長の経営日誌

 FILE No.288 2012.8.25
「 幻のBI対決(1) 」

「馬場さん! 今度二人がリングで会う時は戦う時です!」
「よし、やろう!」

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 8.26では夢のタッグを復活させたBI砲だったが…

1979年(昭和54年)8月26日、日本武道館で行われた奇跡のイベント「プロレス夢のオールスター戦」(FILE No.237241参照)は一夜限りのBI砲タッグを復活させたジャイアント馬場とアントニオ猪木がファンの前で一騎打ちを公約する劇的なフィナーレを迎えました。
誰もが待ち望んだBI対決でしたが、結局ファンの悲願は真夏の一夜限りの夢で終わってしまった事は多くの人がご存知の通りです。
しかし実のところ、あの8.26オールスター戦のわずか二週間後に二人の試合は決定寸前だったと言うと驚くでしょうか。

この秘話を著書や電子書籍で紹介しているのは当時、新日本プロレスのテレビ中継(ワールドプロレスリング)を担当していたテレビ朝日のプロデューサー、栗山満男氏(故人)です。今回は実現寸前で流れたBI対決の顛末をお届けしましょう…。

8.26の興奮も冷めやらぬ残暑の厳しい9月第2週のある日、栗山氏は猪木から新日本プロレスの事務所に呼び出され、驚くべき打診を受けました。
「栗さん(栗山氏の愛称)、俺と馬場のシングルマッチが実現したらテレビ朝日は放映料をいくら出してくれる? 実はまだ具体化していないけど出来そうな感触があるんだ。 勿論、実現したらテレビ朝日に独占放映権を渡す条件でね。」

余談ですが、先の8.26は新日本プロレスがテレビ朝日と、全日本プロレスが日本テレビと専属契約を交わしていた関係で、問題がクリアできずテレビ放送はありませんでした。(3分間のニュース扱いでのみ放送された。)

これほどの世紀の一戦をオンエアできなかった事にテレビマンとして忸怩たる思いを抱いていた栗山氏は猪木の話に色めき立ち、局に帰って専務である三浦甲子二氏の部屋に駆け込みました。
「専務、猪木は馬場とある感触を掴んだようです。 それでテレビ朝日としてこのイベントにいくら支払ってくれるか、至急結論を持って来てくれ、その額によっては馬場との交渉を私に極秘に進めて貰いたいという事です。」
三浦専務は驚いて少しの間思案すると、
「猪木に一本(一億円)払うと言え。」と天下のテレビ朝日の専務らしく即決しました。
テレビ朝日はこの3年前のアントニオ猪木対モハメド・アリの試合(FILE No.177参照)で破格の一億五千万円の放映料を支払っていましたが、今回の一億円はそれに次ぐ金額になります。

三浦専務から一億円の放映料の決済を得た栗山氏はすぐに猪木にそれを伝えました。
猪木の決断も早く、
「俺はその一億円をファイトマネーとして全額馬場さんに渡そうと思う。
新日本プロレスは日本武道館の興行収入だけでいい。 俺は今度こそ馬場と決着をつけてプロレス界を統一したい。 勿論馬場さんには引退してもらってNWA(全米最大の団体)のブッカー(選手招聘窓口)をやってもらって将来を保証しようと思う。
全日本の若手選手は出来るだけ俺のところで面倒を見る。
テレビ局が話をすれば信用すると思うのでファイトマネーの件から交渉して欲しい。」と正式に栗山氏に交渉役を依頼して来たのです。

重責を担った栗山氏は早速馬場に連絡、二人の会談は二日後に実現しました。
テレビ朝日のプロデューサーとライバル局が専属契約を結ぶ団体のオーナー兼レスラーが会うのですから、当然ホテルの一室での密会です。
栗山氏は馬場にストレートに条件を提示しました。
「馬場さん、テレビ朝日としては、馬場―猪木戦が実現し独占中継できるのであれば放映料として一億円を用意します。 支払いは新日本プロレス宛となりますが、猪木からの提案でその全額をファイトマネーとして馬場さんに支払うという事です。」
これまで断固として猪木戦を拒否して来た馬場も、流石に一億円のオファーには驚いたようで、頭から拒絶反応は示さず返事を保留にしました。

「大変な金額をご提示頂き有難う御座います。色々と考えてみたいと思います。
俺の場合、日本テレビとの契約、ジャンボ鶴田以下選手たちの事などクリアしなければならない問題が山積みです。 そして何よりも一番気になるのはこの話が猪木という男から出ている事です。 とにかく2〜3日時間を下さい。こちらから連絡しますよ…。」

猪木への不信は相変わらずにせよ、脈はあると見た栗山氏は帰って猪木と三浦専務に感触を報告し、馬場からの連絡を待ちました。
そして約束どおりわずか二日後に馬場から「明日お会いしたい。」と呼び出しの電話が来たのです。

これまで馬場は「猪木と戦うにはクリアすべき問題がある。」の一点張りで、絶対に腰を上げようとはしませんでした。
栗山氏自身もその歴史を見て来ただけに例え一億円と言う破格の条件であろうと簡単に馬場がこの話に乗って来るとは思えませんでした。
結局、断られるのではないかと不安に揺れ動く気持ちを抑えられないまま、再度の会談に挑んだ栗山氏に対して、馬場は思いもかけない事を言って来たのです…。

 
(次回へつづく)
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