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社長の経営日誌

孤高の天才 社長の経営日誌社長の経営日誌 田宮社長が好き勝手に織りなす独白です
 FILE No.309 2013.1.26
「 平成の金田一耕助(1) 」
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 数々の不朽の名作を生み
出した横溝正史先生

「金田一さん!また事件ですよ!」の声に名探偵、金田一耕助が21世紀に復活!?

金田一耕助は推理小説界の巨匠、故・横溝正史先生が生んだ架空の探偵です。
読書に目覚めた小学生の頃、シャーロック・ホームズを入口に推理小説(探偵小説、またはミステリー小説とも言われる)を読みあさるようになった繁人少年は日本を代表する名探偵である明智小五郎と金田一耕助にはまりました。

1976年、金田一ものの代表作の一つ、「犬神家の一族」が角川映画となり大ヒット、空前の金田一ブームが起こりましたがその時私は小学五年生、まさしく直撃世代です。
翌77年からはTBSで古谷一行主演の「横溝正史シリーズ」がスタート、子供にはかなり怖かったのですが夢中で観ていたものです。

その金田一耕助のファンイベントが岡山県は倉敷市にある真備(まび)町岡田地区で行われました。
神戸出身の横溝先生は戦時中の1945〜8年の三年間、親族ゆかりの地である真備町に疎開し、この町で金田一初登場作品となる「本陣殺人事件」を執筆しました。
言わば真備は金田一耕助の生誕の地であり、同作品の舞台もこの町がモデルとなっています。
昨年(2012年)は横溝先生の生誕110周年という事もあり、「巡(めぐる)・金田一耕助の小径(こみち)」と題され色々なイベントが行われましたが、目玉となったのが11月24日に開催された「1000人の金田一耕助」なる仮装イベントです。
2009年以来毎年恒例となっているこの催しはその名の通り金田一耕助になりきったファンが集まってゆかりの地である真備町を練り歩くというもので回を重ねる毎に参加者が増えているとの事です。
今回、私も思いきって申込みをしたのですが参加者は金田一耕助(もしくは横溝作品の他のキャラでも可)のコスプレをする事が絶対条件で、高いハードルとなるのが衣装の調達でした。

金田一耕助というと必要なのが着物と袴、帽子と下駄、そして鞄です。
下駄は何なく手に入りましたが厄介なのは着物&袴と帽子で、古着屋でも廻ろうかと思案していたところインターネットで素晴らしいサイトを発見、金田一の衣装を特注で作ってくれる業者があったのです。
これで最大の難関を突破、特に金田一の被っている帽子(お釜帽と言うらしい)などは今時なかなか見つかりそうもなかったので助かりました。着物は私のボディサイズの測り方が下手で余裕を持って大き目に申告しすぎた為、結構ぶかぶかでしたが(苦笑)。

イベント本番は11月の下旬という事で寒さ対策として黒いマントコート(トンビコートとも言う)をネットオークションで入手、ユニクロに行って1500円のマフラーも買いました(今回揃えた物ではこれが最安値)。
金田一が持ち歩いているアンティークな旅行用トランクもネットで落札、これで全ての準備が整った…と思ったのですが金田一耕助のトレードマークと言えばぼさぼさの頭(原作ではもじゃもじゃ頭と形容されている)、髪を指で引っ掻き回してフケを飛ばすシーンは有名ですが短髪の私ではどうも雰囲気が出ません。
そこで鬘(かつら)を購入する事にしました。

昭和20年代から現代に至るまで、映画やテレビなどで金田一耕助を演じた俳優は20名近くにも上りますが、やはり私の中では前述の「横溝正史シリーズ」の古谷一行さんと70年代の映画の石坂浩二さんの印象が強く(私と同世代の方は多くの人がそうでしょうが)そのイメージに近い鬘を探しました。
しかし良いものがあったと思ったら茶髪だったりと(茶髪の金田一はいくらなんでもまずい!)かなり難航、結局最後は妥協して比較的一番近いと思えるものを選びました。 因みに衣装一式にかかった総費用、約4万円なり…。

当日は3時間半かけて6〜7kmを歩く行程なので下駄に足を慣らしておかないと大変です。通販で買った下駄が届くと早速試しに歩いてみたのですが、5分もしないうちに痛くてギブアップしました。足の甲や指の又の鼻緒に当たる部分がめちゃくちゃ痛くて我慢できないのです(涙)。

これを当たり前のように履いていた昔の人は凄いと感心しましたが、それから本番までの数週間、通勤の行き帰りに駅から自宅までの往復50分を下駄で歩く特訓が始まりました。
音符下駄を鳴らして奴が来る〜。」(かまやつひろし「我が良き友よ」)と歌いながら毎日歩いていると足の痛みも殆ど無くなり平気になったのですから、人間の身体の順応性は凄いものです。
それにしても私だけはこの情熱を何故もっと他の事に使えないのでしょう(笑)。

そしていよいよ本番当日がやって来ました。

(次回へつづく)
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