(前回からの続き)
こんな不可解で馬鹿げた事が起こる原因の一つに、省庁間の縦割り行政というお役人の縄張り意識があるようです。
環境というと、エネルギー、食糧、地域の問題なのですが、現在の日本では、エネルギ−問題は経済産業省、食糧は農林水産省、川や道路などの町作りは国土交通省の管轄となるので環境省には手が出せません。そこでやることのない?環境省から出てきたのがレジ袋追放などの社会の一部だけを見た環境政策なのです。
小売業からすれば今の流れは大歓迎でしょう。今まで無料で配布していたレジ袋を有料にしたり、無くす事ができればそれだけで利益増ですから。
袋にはたいていお店の名前やロゴマークが入っています。この宣伝効果を馬鹿にしてはいけません。無料で配布するサービス袋はチラシと同じで販促材料です。
レジ袋廃止運動で、一番気の毒なのは消費者です。今まで無料で貰えて再利用できたレジ袋を貰えなくなって、高い金を払ってマイバッグを買ってごみ袋にまでお金を使い、それが環境に良いと信じているのですから…。
素人の戯言と言われそうですが、もし私がスーパーのオーナーだったら、他所との差別化の為全く正反対の事をやります。
他所が環境問題(実は偽善)を大義名分にレジ袋を無くそうとするのであれば「レジ袋を使おう(再利用しよう)キャンペーン」を大々的にやるのです。
まず、レジ袋は当然無料配布しますが、貰いすぎて使い切れない人も結構多いようなので、原則1人に○枚まで、と基準を設け、コンビニなどでよくやっている「袋はご入用ですか?」という声かけをマニュアル化します。
チラシ、店内のPOPやポスター、ホームページなどをフルに使ってレジ袋を無くしても全然環境問題には貢献しない事、レジ袋はごみ袋などに必ず再利用して欲しい事を徹底的に訴えます。
当然レジ袋は透明、又は半透明にして、「ごみ袋としてお使い下さい。」と大きく印刷を入れます。
自治体も、自分たちの指定したごみ袋に入っていないごみは持ち帰らないなどと了見のせまい事を言うべきではありません。むしろレジ袋に入っていないごみは持ち帰らないとするべきなのです。
レジ袋そのものを、自治体の指定ごみ袋とするのです。そう、今やっている事は全く逆なのです。
消費者はレジ袋を無料で貰えてごみ袋を買うのに余計なお金を使わずに済んで、再利用されるので環境にも良く、なおかつ焼却時の助燃効果も上がり…。
どう考えてもこちらの方が合理的で、皆が喜ぶはずなのですが何故反対の事を推奨するのでしょうか?
多くの方が気付いていると思いますが、レジ袋は昔と比べるとびっくりするぐらい薄くなっています。
これは環境対策というより値上げ対策なのですが(笑)ここまで薄くしても持ち帰り用の袋としての機能を保っているのは、製造する側の大変な技術なのです。
ビニール袋の時代は、塩化ビニールの特性として燃やすと有毒ガス(塩素ガス)が出るという欠点がありました。ポリエチレンは燃やしても有毒ガスを出しませんし、焼却炉を傷める心配もありません。
レジ袋は環境に配慮した商品である事が改めてわかって頂けると思います。
レジ袋こそ、真のエコバッグと言っても過言ではないでしょう。
参考文献 |
「偽善エコロジー」(武田邦彦 著)幻冬舎 |
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